有島武郎(ありしまたけお)+ファイナルファンタジー1RTA
天も地も一つになった。
颯と風が吹きおろしたと思うと、積雪は自分の方から舞い上るように舞上った。
それが横なぐりに靡いて矢よりも早く空を飛んだ
二人の男女は蟻のように小さくその林に近づいて、やがてその中に呑み込まれてしまった。
ほんとうに地球は生きている。生きて呼吸している。
この地球の生まんとする悩み、この地球の胸の中に隠れて生まれ出ようとするものの悩み――それを僕はしみじみと君によって感ずる事ができる。
それはわきいで跳り上がる強い力の感じをもって僕を涙ぐませる。
人間が人間たり得た唯一の力は、自然が持つ均衡を打破つて、その或る点を無限に誇大するところに成立つ。
人類の歴史とは、畢竟この誇大的傾向の発現の歴史である。
大地に根をおろして、梢を空にもたげるものは栄える。
梢に大地をつぎ木して、そこに世界を作らうとするものは危い。
人は自然を美しいといふ。然しそれよりも自然は美しい。
人は自然を荘厳だといふ。然しそれよりも自然は荘厳だ。
如何なる人が味到し色読したよりも以上に自然は美しく荘厳だ。
議論としてそれを拒む人はあるかも知れないが、
何等かの機会に於てそれを感じない人はない。