【屑の中のクズ】石川啄木(いしかわたくぼく) かの時に言ひそびれたる 大切の言葉は今も 胸にのこれど


石川啄木の歌 眼閉づれど、心にうかぶ何もなし。

 

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いのちなき砂のかなしさよ
さらさらと
握れば指のあひだより落つ

 

たはむれに母を背負ひて
そのあまり軽きに泣きて
三歩あゆまず

 

あたらしき背広など着て
旅をせむ
しかく今年も思ひ過ぎたる

 

一度でも我に頭を下げさせし
人みな死ねと
いのりてしこと

 

はたらけど
はたらけど猶わが生活楽にならざり
ぢっと手を見る

 

たんたらたらたんたらたらと
雨滴が
痛むあたまにひびくかなしさ

 

不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心

 

かの時に言ひそびれたる
大切の言葉は今も
胸にのこれど

 

さりげなく言ひし言葉は
さりげなく君も聴きつらむ
それだけのこと

 

眼閉づれど、
心にうかぶ何もなし。
さびしくも、また、眼をあけるかな。

 

新しき明日の来るを信ずといふ
自分の言葉に
嘘はなけれど――

 

人がみな
同じ方角に向いて行く。
それを横より見てゐる心。

 

秋本治こちら葛飾区亀有公園前派出所

 

教育者には教育の精神を以て教へる人と、教育の形式で教へる人と、二種類ある。後者には何人でも成れぬことはないが、前者は百人に一人、千人に一人しか無いもので、学んで出来ることではない、謂はば生来の教育者である