フィンセント・ファン・ゴッホ


ブロンズちゃんの書籍紹介 Part69 『ゴッホの手紙』



僕は大聖堂よりは、人間の眼を描きたい。

大聖堂がどれほど荘厳で堂々としていようとも、

そこにはない何かが、眼の中にあるからだ。

神の言葉を種まく人に、僕はなりたいと願っている。

福音書だけでなく聖書全体の根底または基本的真理の一つは、

暗闇の中に差し昇る光だ。

人は画家だと聞くと、狂人か金持ちのどちらかだと思うだろう。

自然という偉大な書物が我々に語ってくれる死のイメージだが、

僕が努めて出そうとしたのは、ほとんど微笑みながらという姿だ。

急ぎすぎる必要はない。そうしたところで良いことはないから。

ただ、絶対に静かに落ち着いて、出来る限り規則的でしかも一心不乱に、

出来る限り簡潔に仕事を続けていかねばならない。

彼は一本の草の芽を研究しているのだ。

しかしこの草の芽は、

彼に全ての植物をそうして四季を壮大な風景を描き出させ、

ついには色々な動物、

それから人間の姿を描き出させるようになる。

まるで自分が花であるかのように自然の中に生きる。

こんなに単純な、これらの日本人が私達に教えてくれるものこそ、

真の宗教ではないだろうか。

僕が人工的な熱病状態を作り出しているとは思わないでくれ。

僕はいつも厄介な計算を行い、そこから次々と絵が生まれるのだ。

それらは素早く描かれてはいるが、それ以前に充分長く考えられている。