【詩人】萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)月に吠える 世界の中心で愛を叫ぶ


ブロンズちゃんの書籍紹介 Part108 萩原朔太郎『猫町』

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ちくま日本文学(036) 萩原朔太郎
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日本の詩の第一人者。

長男で朔日に生まれたため、朔太郎と名付けられる。

四季の中では秋を好む、月が最も綺麗な季節である。

趣味は漫歩、特に好きな場所は停車場の待合室であった。


「月を忘れていた」という意味は、何の感動も詩情もなしに、無関心にそれを見ていたという意味なのである。


僕が俳句を毛嫌いし、芭蕉も一茶も全く理解することの出来なかった青年時代に、ひとり例外として蕪村を好み、島崎藤村氏らの新体詩と並立して、蕪村句集を愛読した実の理由は、思うに全くこの点に存している。即ち一言にして言えば、蕪村の俳句は「若い」のである。丁度万葉集の和歌が、古来日本人の詩歌の中で、最も「若い」情操の表現であったように、蕪村の俳句がまた、近世の日本における最も若い、一つの例外的なポエジイだった。そしてこの場合に「若い」と言うのは、人間の詩情に本質している、一の本然的な、浪漫的な、自由主義的な情感的青春性を指しているのである。


ニーチェの世界の中には、近代インテリのあらゆる苦悩が包括されている。誰でも自分の悩みをニーチェの中に見出さない者はなく、ニーチェの中に自己の一部を見出さないものはない。ニーチェこそは、実に近代の苦悩を一人で背負った受難者であり、我々の時代の痛ましい殉教者であった。


ニーチェの著書は、おそらく人間の書いた書物の中で、最も深遠で、かつ最も難解なものの一つであろう。その深遠な理由は、思想が人間性の苦悩の底へ、無限に深くもぐりこんで抜けないほどに根を持っているのと、多岐多様の複雑した命題が、至るところで相互に矛盾し、争闘し、容易に統一への理解を把握することができないこと等に関連している。


ニーチェは詩人である。何よりも先づ詩人である。しかしながら彼のポエジーには、多くの深遠な思想や哲学が含まれている。その内容を理解し得ないでは、ニーチェの詩を感情し得ない。しかも彼の思想や哲学は、学問する頭脳では理解し得ず、哲学する精神によってのみ理解されるのである。