崇高から滑稽までの間は、僅かに一歩あるのみだ



ある時代の偉人というのは、彼の時代の意志を表現し、

時代の意志をその時代に向かって告げ、

これを実行することの出来る人間である。

彼の行為は彼の時代の精髄であり本質である。

彼はその時代を実現するものである。


学者とは様々な書物を読んだ人のことである。

思想家・天才・世界の啓発者・人類を進歩させた者は、

直接に世界という本を読んだ人のことである。


自然の作り出した動物も数多いが、

およそ世にヤフーほど不潔、有害、醜悪なものはないばかりか、

彼らはまた最も強情、不逞、夥しい害悪を流すものである。


この世では剣によらねば何事も成就せぬ、

吾人は死ぬまで剣を手から離すことはできぬ。

力なき正義は無能であり、正義なき力は圧政である。


なにゆえ人は多数に従うのか?

彼らがいっそう多くの道理をもっているからか?

否、いっそう多くの力をもっているからである。

君主は野獣と人間を巧みに使い分けることが必要である。

野獣の中ではキツネとライオンに習うようにするべきである。


善き政治はおのれの限界を意識して、

失せたる一匹の救いを文学に期待する。

が、悪しき政治は文学を動員しておのれにつかえしめ、

文学者にもまた一匹の無視を強要する。


ここに「ひとりの罪人」はかれにとってたんなるひとりではない。

かれはこのひとりをとおして全人間をみつめている。