【夢ばかり見る変人】夢野久作(ゆめのきゅうさく)【ドグラ・マグラ】
ブロンズちゃんの書籍紹介 Part39 夢野久作『ドグラ・マグラ』
『人間を神様以上のものと自惚れさせた』
これが脳髄の罪悪史の第一ページであった。
『人間を大自然界に反抗させた』
これが、その第二ページであった。
『人類を禽獣の世界に逐い返した』
というのがその第三ページであった。
『人類を物質と本能ばかりの虚無世界に狂い廻らせた』
というのがその第四ページであった。
『人類を自滅の斜面へ逐い落した』
それでおしまいであった。
その大真理なるものは、それが余りに簡単で、平凡であり過ぎるために、却って誰にも気付かれなかった程の驚異的な大真理であった。
そもそも夢というものは、人間の全身が眠っている間に、その体内の或る一部分の細胞の霊能が、何かの刺戟で眼を覚まして活躍している。その眼覚めている細胞自身の意識状態が、脳髄に反映して、記憶に残っているものを吾々は「夢」と名付けているのである。
こうして長い長い夜が明けますと、今度は同じように長い長い昼が来ます。
じゃぱん がばめん ふぉるもさ ううろんち わんかぷ てんせんす かみんかみん