【日本の三大奇書】ドグラ・マグラ、黒死館殺人事件、虚無への供物、女神問弧印
ブロンズちゃんの書籍紹介 Part67 中井英夫『虚無への供物』
文学に興味がない方でも、名前は聞いたことがあるかと。
夢ばかりみる人間、夢野久作の作品です。
ファイナルファンタジーシリーズの三姉妹の、名前の由来でもあります。(デルタアタック)
九州帝国大学医学部精神病科に、閉じ込められた一人の男の物語です。
中盤に胎児の夢についての描写があり、非常に興味深く読めた。
ドイツの生物学者、エルンスト・ヘッケルの反復説を元にしています。
エルンスト・ヘッケルは、生物学を勉強した方は、ご存知かと。
様々な生物についての、美しくそれでいて恐ろしい絵を描いている方です。
これ三大奇書だったんですね。ミステリー小説に嵌っていた時に、読んだのですが、特に何も感じなかった。
前書きの、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの葬式については、覚えている。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの『ファウスト』とS・S・ヴァン・ダインの『グリーン家殺人事件』が、下敷きにされています。
上述した『ドグラ・マグラ』と『黒死館殺人事件』は、青空文庫にありますので、良かったら読んでどうぞ。
何か面白いことはないかなあとキョロキョロしていれば、それにふさわしい突飛で残酷な事件が、いくらでも現実にうまれてくる、いまはそんな時代だが、その中で自分さえ安全地帯にいて、見物の側に廻ることが出来たら、どんな痛ましい光景でも喜んで眺めようという、それがお化けの正体なんだ。
考えてくれ、今の時代で、気違い病院の鉄格子のどちらが内か外か。何が悪で、何が人間らしい善といえるのか。
作中人物の、誰でもいいけど、一人がいきなり、くるりとふり返って、ページの外の”読者”に向って”あなたが犯人だ”って指さす、そんな小説にしたいの。
彼らが世界を破壊する
彼らが世界を穢す
彼らが調和を乱す
彼らが全ての命を殺す
全ての命が救われる
永遠の平和が訪れる
一つの命を殺すことによって
一つの種の命を殺すことによって
何も間違っていない
何一つ間違っていない
真理 正義だ