音楽についての言葉

僕等が音楽をきく目的は、美しい旋律や和声からして、快よい陶酔と恍惚とを求めるのだ。決して「芸術的威権の気分」を味うためではない。



鐘の音は遠過ぎもせず、また近すぎもしない。何か物を考えている時でもそのために妨げ乱されるようなことはない。そのまま考に沈みながら、静に聴いていられる音色である。また何事をも考えず、つかれてぼんやりしている時には、それがためになお更ぼんやり、夢でも見ているような心持になる。



あの鐘の音を聞け、鐘は一つだが、音はどうとも聞かれる



古池や蛙飛びこむ水の音



音楽は魂が自らの計算を自覚せず行う、算術の隠れた実践である。



悪魔が人間を惑わすためにこの世に送り込んだ音楽



ウィーンでは太陽は登りたがらない。ランナーとシュトラウス、それに彼らのワルツが、すべてを陰らせてしまうのだ……