【女流歌人】与謝野晶子(よさのあきこ) くろ髪の千すぢの髪のみだれ髪かつおもひみだれおもひみだるる


与謝野晶子 みだれ髪

 


 

 

 

夜の帳にささめき尽きし星の今を下界の人の鬢のほつれよ

 

やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君

 

清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき

 

むねの清水あふれてつひに濁りけり君も罪の子我も罪の子

 

こころみにわかき唇ふれて見れば冷かなるよしら蓮の露

 

京の鐘この日このとき我れあらずこの日このとき人と人を泣きぬ

 

春みじかし何に不滅の命ぞとちからある乳を手にさぐらせぬ