【耕到天是勤勉哉】藤島武二(ふじしまたけじ) 耕到空是貧哉
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絵画のエスプリというのは、即ち画面の裏にかくされている作者の気持を言うのである。作品には必ず作者のエスプリが現われておらねばならぬし、同時に見る人も作品を通じて作者のエスプリのない作品、エスプリを見得ない鑑賞は、共に皮相的なるものであるに過ぎない。
油絵の本質は、どこまでもどこまでも突っ込んで行くところにある。体力のすべてを動員し、研究のすべてを尽し、修正に修正を重ねて完璧なものにするのが油絵である。そしてそれがためには断じて中途で挫折することのない熱烈な意欲が必要なのである。
自分の周囲の暗雲を払って、本当の自分を発見するということは、仏教などでもそれを最も大切なことに見ている。
結局最後まで遺るものは、作者の精神が強く輝いている作品である。何程表面が美しくても、エスプリのない作品は決して後世に遺ることができない。
高間筆子、21歳で死去した女性の画家です。
関東大震災で消失した為、作品は一点も現存しません。
村山槐太・関根正二と共に、大正の天才オリオンズの一人です。