【お願い許して!悪夢なら醒めて!】江戸川乱歩(えどがわらんぽ) うつし世はゆめ よるの夢こそまこと



私は、ふと未来永劫この森の中に、大きな大きな円を描いて歩きつづけているのではないかと疑い始めた。外界の何物よりも私自身の歩幅の不確実が恐しかった。


幾千年、幾万年、お前たち、空も森も水も、ただこの一刹那の為に生き永らえていたのではないか。


わざと見えるように消しておいて、そこに実は一番相手に読ませたいことが書いてある。


人間というものは、何かを探す場合、なるべく目につかない様な所、部屋の隅々とか、物の蔭とかに注意を奪われて、すぐ鼻の先に抛り出してある、大きな品物なぞを見逃すことがある。これは面白い心理だよ。だから、最も上手な隠し場所は、ある場合には最も人目につき易い所へ露出して置くことなんだよ


人間というものは、何かを探す場合、なるべく目につかない様な所、部屋の隅々とか、物の蔭とかに注意を奪われて、すぐ鼻の先に抛り出してある、大きな品物なぞを見逃すことがある。これは面白い心理だよ。だから、最も上手な隠し場所は、ある場合には最も人目につき易い所へ露出して置くことなんだよ


ところが、僕にとって好都合だったのは、あなたが世間並みの裁判官や犯罪者より、十倍も二十倍も進んだ頭を持っていられたことです。つまり、急所にふれない限りは、出来る丈けあからさまに喋って了う方が、却って安全だという信念を持っていられたことです。裏の裏を行くやり方ですね。そこで僕は更らにその裏を行って見たのですよ。


一、感情の犯罪(恋愛、怨恨、復讐、優越感、劣等感、逃避、利他)
二、利慾の犯罪(物慾、遺産問題、自己保全、秘密保持)
三、異常心理の犯罪(殺人狂、変態心理、犯罪のための犯罪、遊戯的犯罪)
四、信念の犯罪(思想、政治、宗教などの信念にもとづく犯罪、迷信による犯罪)