岡倉天心(おかくらてんしん) 彼らが断末魔の苦しみに叫んだとしても、その声はわれらの無情の耳へは決して達しない
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われわれは、一閃闇を切る白刃の剣を待っている。なぜならば、このおそるべき静寂を破られなければならず、新しい草花が咲きいでて、大地を一面におおってしまうまえに、新しい生気をふくむ雨の滴が、それを清新にしなければならないからである。
真の無限は円であって、線の延長ではない。
悲しいことに、われわれが真にたのむのことのできる友は、今なお剣である。
おのれに存する偉大なるものの小を感ずることのできない者は、他人に存する小なるものの偉大を見のがしがちである。
ともにはかなきを夢見、おろかしくもうつくしきものに、しばし心をとめようではないか。