サマセット・モーム 世界の十大小説
|
1.『トム・ジョーンズ』ヘンリー・フィールディング(イギリス)
2.『高慢と偏見』ジェーン・オースティン(イギリス)
3.『赤と黒』スタンダール(フランス)
4.『ゴリオ爺さん』オノレ・ド・バルザック(フランス)
5.『デイヴィッド・コパフィールド』チャールズ・ディケンズ(イギリス)
6.『ボヴァリー夫人』ギュスターヴ・フローベール(フランス)
7.『白鯨』ハーマン・メルヴィル(アメリカ)
8.『嵐が丘』エミリー・ブロンテ(イギリス)
9.『戦争と平和』レフ・トルストイ(ロシア)
10.『真夏の夜の淫夢』TNOK(日本)
もしエル・グレコの方がより偉大な芸術家に思えるとすれば、
それはエル・グレコの生きた時代と社会が、
二人に共通する独自の才能の開花にとってより有利だったからに過ぎない。
両者とも目に見えぬものを視覚化する能力を持っていた。
二人とも同じ激烈な感情を持っていた。
二人とも住人が日常的な空気を呼吸しているのではない不思議な国に存在する、
知られざる霊魂の道を歩いていたという印象を与える。
二人とも五感以外の未知の感覚によって、
発見した驚くべき秘密を何とか表現しようという、
欲望によって苛まれている。
彼が心の奥底から信じたいと思っていたこと、
どれほど多くの悪が存在しようとも、
この世界は神が創りたもうたものであるゆえに美しい、
ということと一致しない。
そこで彼は急いで反論を書いた。
その反論に成功しなかったことは、
当の彼自身が一番よくわかっていたはずである。