全ての人間の命に値する理論は、おいくらですかね?
子供の時代に、夢と詩の世界を知らない人間、
豊富な童話精神を持たなかったような人間に、
偉大な芸術や科学の創造され得る見込みはない。
もし現代の日本の子供が、果して或る人々の言う如く、
本来の童話精神を喪失し、老成人の如く常識家化して居るならば、
正にそれは日本文化の虚脱である。
畢竟人が孤独で居るのは、周囲に自分の理解者が無いからである。
天才が孤独で居るのは、その人の生きてる時代に自己の理解者がないためである。
即ちそれは天才の「特権」でなくて「悲劇」である。
先生はどうにかして皆を救ってやりたいと考えて居られたのだ。
ここが先生の皆と違うところだったのだ。