【日本映画の巨匠】黒澤明(くろさわあきら)監督
ブロンズちゃんの書籍紹介 Part102 黒澤明『蝦蟇の油』
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僕にはトルストイとドストエフスキーとバルザックの本を愛読書と申す事には、
何か気が引ける思いがします。
なぜなら、僕はこれらの本を愛すると申すより、
その前に跪いていると申した方が適当だからです。
小説を読んでポロポロ涙が出てくるという作家は、ドストエフスキーしかいない。
『藪の中』は、芥川さんの嘘だと思うんですよ。
あれが正直に自分のものだったら、生きていけないでしょう。
芥川さんはもっと早く自殺したろうと思いますね。
天の視点から、人間のやっていることを俯瞰の目で見て描きたい。
高い山は、空を見る者が高い所へ登れば登るほど、高く見える。
やっと、自分が登るべき山の裾へたどりつき、その山を見上げて立った。